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さまざまなやる気スイッチ

そういう技能が身につく状態になるまでは、とりあえず音読をさせるというのが適切な勉強法だということになります。  音読をしているうちに、勉強法を自分なりに工夫するようになります。
親の学生時代の勉強法を教えたりするよりは、音読をさせながら、その子なりの工夫が出てくるまでじっくり待つのがよいのです。  音読を一歩進めて、マーカーでマークをつけさせるのもひとつの方法です。
複数の色のマーカーを持たせ、色を分けさせるのがいいと思います。  いちばん色分けしやすいのは、社会の歴史的な項目です。
たとえば、事項は赤、人名は緑、年号は黄というように色分けを決めます。 今日は、事項だけにマークする、次の時は人名だけにマークする、というように、ある特定の種類の情報にだけマークする日を作ります。
それに先だって、何度か通常の音読や黙読をしておくことが必要ですが。  マークや下線の色分けは非常に有効です。
 年号なら年号にだけ注目して教科書を読むことによって、たんに音読していたときとは異なる見え方を経験できます。 そうすると、同じ文章に対して異なった見方  ができます。

 それにより、文章の飽きを防ぐことができますし、マークしたという経験が、記憶の手がかりとして残るのです。  勉強するのはあくまで子ども本人の仕事ですが、幼いうちに自然に勉強の習慣をつけてやるのは親の仕事ではないかと思います。
 たとえば、幼稚園のときは一日三〇分、一年生は一時間、二年生は一時間半というようにしていくのも一つの考え方です。  場合によっては「勉強時間」でなく、「机の前に座る時間」というふうにしてもいいと思います。
 小学校の四年生くらいになって急に勉強させようとしても、それまでにそういう習慣もなく、机の前にまとまった時間座る鍛錬もできていないのなら、学習そのものが空振りに終わってしまう可能性が高いのです。 子どもが勉強嫌いになる何分の  一かは、座る習慣がないことに起因すると思います。
 そのときまでに、このような計画をして、心と身体を慣らしておくことが大切だと思います。  一年生くらいのときに、一年間で三〇分ずつ延ばしていこうねと話しておくのがよいと思います。
 低学年のうちにこのような習慣をつけていない場合は、塾通いなどが始まる一年、あるいは半年前くらいから、三一ヵ月ごとに一五分延ばそうね」などと約束しておき、実際にそのとおりにしておくのがよいと思います。 とにかく、四年生のときには、勉強の時間でも机の前に座る時間でもいいので、短くとも二時間半くらいはじっと座れるようにしておいてあげてください。
 勉強はある一定の量を毎日繰り返すことが大切です。 基本量と呼びましょう。
毎日、計算ドリルを三枚やり、漢字のノートをある程度こなし、塾と学校の宿題を片づけるというくらいです。  毎日基本量をこなすと、漢字と計算のドリルが何力月後にはきちんとあがるといった長期展望がなくてはいけません。

分量ででも、時間ででもいいですから取り決めて、基本勉強と呼ぶことにします。  そのほか、クラスのプロジェクトとして課されている調べものをするとか、どこかの入試問題を本番と同じ時間を測りながらやってみるなど、そのときどきの判断で基本勉強にプラスする勉強を追加勉強ということにしましょう。
 なるべく「検閲」的な雰囲気にならずに、チェックするのがコツです。  というのは、勉強を始めた頃は、子ども自身が終わったところと終わっていないところの区別ができず、ノートを見ても、前日どこまでやったか確認できない状態になっていることすらあるからです。
 理想的には、子どもが自分で確認し、親は子どもから確認したということを一言聞き、さらっと見るだけで終わるのがよいと思います。  必要に応じて、終わったページに印をつけるとか、できない問題に印をつけておくなどもよい工夫です。
 大事なことのひとつは、その基本量の積み重ねだけで、一ヵ月なり二ヵ月に一冊、ドリルなどが仕上がるようにすることです。 そのことで、「継続は力なり」ということが実感できるからです。
逆算して一日の基本量を割り出してあげるのははじめのうちは親の役割でしょう。  さて、いったん、勉強する習慣を始めたら、大切なことがひとつあります。
 基本的な量の勉強については、しなくてよい休みの日を作らないことです。  場合によって、ある特定の曜日(たとえば日曜日)だけ、週に一日、基本勉強もない日を作るのはいいかも知れません。
稽古事の都合などで、そのほうが生活の規則性が守りやすい場合があるかも知れません。 それならそれで、週に一日、基本勉強の休みの日を作ってあげればいいでしょう。
 習い事などの都合がある場合には、基本勉強をする日を一応週に五日にして、その週の基本勉強が終わっていれば、あとの二日(たいてい、土曜日、日曜日)は、しなくてもいい日と考えるというやり方もあります。 誕生日だからとか、模擬試験の翌日だからとか、「突発的な」理由で基本勉強を免除する日を作らないほうがよいのです。
 特別な理由で休みの日を作ることは、勉強することは辛いこと、イヤなことという認識を定着させることになります。 そうではなく、ある程度勉強することは、当然のこと、逃げられないことであることを経験によって納得させていくことが望ましいのです。
勉強をしなくてよい特別な日を認めると、ふだんの日は、その特別な理由のない暗い日という認識になってしまいます。 本人の誕生日のある日でも「今日は誕生日パーティがあるから、早いうちに勉強をしておいたほうがいいよ」という具合にごくふつうのこととして勉強をさせるのがよいのです。

 子どもは、誕生日や遠足など特別の日は勉強しなくてよいことにして欲しいとねだります。 そういうときは、「お母さんだって、毎日、家の用事をしているし、お父さんだって、毎日働いているでしょう」とか「君の心臓だって毎日ちゃんと打っているよ。
誕生日だからって心臓はお休みしないでしょう」というように納得させましょう。  小学生から中学生にかけての時期は、家族旅行がもっとも楽しい時期です。
 高校生になったら、もう、なかなか親との旅行に応じてくれなくなるかも知れません。  ですから、夏休みなどに親も休暇をとって海や山に行くのはいいのですが、そういう旅先でも、なるべく基本量の勉強だけはさせるようにしましょう。
話し合ったうえでなら、旅先では一時間に減らしてもよいと思います。 ですが、何もしないで寝られる日は作らないほうがよいのです。
 ひとつには、記憶の固定には長期間にわたる繰り返しが有用だということです。 せめて忘れないようにするためには、思い出す程度にでも勉強を続けることが必要です。
 けれども、もっと大切なことは、勉強を特殊なものにしてしまわないことです。 家族旅行なら、少し工夫をすれば一時間程度の勉強時間をとれないはずがありません。
とれないと思うのは、じつは、親が寝坊したいとか、一晩遊び明かしたいというような自分の気持ちに負けてしまうからに他なりません。  やってみると、子どももそうイヤでないことを自覚することが多いものです。
  後になって、このページをやっていたとき、外でヒグラシがさかんに鳴いていたなどと、そのときの光景の記憶が勉強の記憶と一緒になり、かえって印象に残るということになることもままあるものです。


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